ボーダーライン。Neo【中】


 何度もすれ違い、遠回りをしながら、最後には堅く結ばれるラスト。


 ーー「面白かったね、映画! あのラストシーンが斬新で印象的じゃなかった?」


 彼女は声を弾ませ、可愛らしい笑みを浮かべていた。

 エンドロールを見つめながら、あの頃の幸子を思い出すと、どこかやるせない気持ちになる。

 何処で道を間違えたのだろう。

 叶うならもう一度あの映画館からやり直したい。

 ハッピーエンドで終えた物語とは違い、どうしてこんな結果になったのだろう。

 ーー俺の何がいけなかった?

 僕は伊達眼鏡の奥で眉を寄せ、どうしようもない悔しさに堪えた。

 幸子の事は諦めて、過去と決別しよう、と漸く踏ん切りがついた筈なのに。

 後悔ばかりが押し寄せる。

 心機一転のつもりで髪も切ったが、その甲斐も無く、結局は女々しいばかりだ。

 
 ーー「もうそんな関係じゃないし。あなたは、あたしにとって忘れたい過去なの」


 最後に会った彼女の台詞が脳裏に浮かび、僕はため息をついた。

 幸子のために、幸子を喜ばせようと自分なりに色々やってきたつもりだから。

 過去の行動に対して悔いは無い。

 でも、きっと。“何か”が足りなかった。