何度もすれ違い、遠回りをしながら、最後には堅く結ばれるラスト。
ーー「面白かったね、映画! あのラストシーンが斬新で印象的じゃなかった?」
彼女は声を弾ませ、可愛らしい笑みを浮かべていた。
エンドロールを見つめながら、あの頃の幸子を思い出すと、どこかやるせない気持ちになる。
何処で道を間違えたのだろう。
叶うならもう一度あの映画館からやり直したい。
ハッピーエンドで終えた物語とは違い、どうしてこんな結果になったのだろう。
ーー俺の何がいけなかった?
僕は伊達眼鏡の奥で眉を寄せ、どうしようもない悔しさに堪えた。
幸子の事は諦めて、過去と決別しよう、と漸く踏ん切りがついた筈なのに。
後悔ばかりが押し寄せる。
心機一転のつもりで髪も切ったが、その甲斐も無く、結局は女々しいばかりだ。
ーー「もうそんな関係じゃないし。あなたは、あたしにとって忘れたい過去なの」
最後に会った彼女の台詞が脳裏に浮かび、僕はため息をついた。
幸子のために、幸子を喜ばせようと自分なりに色々やってきたつもりだから。
過去の行動に対して悔いは無い。
でも、きっと。“何か”が足りなかった。



