ボーダーライン。Neo【中】

◇ ♂

【分かった。招待状が届いたら、結婚式には行くつもりだから】

 仕事が済んだ後、僕は楽屋でそのメールを読み取った。

 ありがとう、と続けて返事を送り、メンバーと共に廊下を歩く。

 後ろに並ぶ竹ちゃんを見て、あ、と声を掛けた。

「あのさ、竹ちゃん」

「うん?」

「その。 仕事には支障なさそうだし、髪切って来てもいいかな?」

 言いながら、曖昧な手つきで頭を触った。

「え? あー」

 竹ちゃんは首を傾げ、頬を緩ませた。

「鬱陶しいか?」

「うん、ちょっと。後ろはもうくくれちゃうし。俺、もともと長髪は好きじゃないから」

 襟足は既に、肩へ届く長さだ。

「分かった。好きにして良いぞ?」

「サンキュ」

 竹ちゃんに快くオーケーを貰い、車に乗り込んだ。

 行きつけのヘアサロンで髪を切り、適当な店で夕食を済ませる。

 ーー明日は午後イチだし、このまま真っ直ぐ帰るのもつまらないな。

 何となくそう思い、たまには気分転換にぶらつこうかな、と適当に車を走らせた。

 特別意図があったわけでも無いのだが、一人で映画を観るのも悪くないなと思い至る。

 僕は近くのコインパーキングへ車を停めた。