◇ ♀
「今鳴ってたの、サチの携帯?」
洗面所から戻った彼が、何気なく訊ねた。
「え? ああ、うん。間違い電話なのか直ぐに切れちゃった」
「ふぅん」
マナーモードで、尚且つ、慌てて留守番電話に切り替えたのに、地獄耳もいいところ。
あたしは真顔で嘆息をもらした。
テレビのチャンネルを切り替え、少しボリュームを上げた。
八時を回り、慎ちゃんが仕事に出ると、あたしはようやくエプロンのポケットに手を入れた。
番号を見て檜からの電話だと分かり、慌てて留守電に切り替えたのだが。
ディスプレイには留守録有りのアイコンが出ていた。
ーーなに?
メッセージを再生し、携帯を耳に当てる。
ピー、という機械音の後に、彼の声が流れ込んだ。
『こんな朝からいきなり電話してごめん。鍵の件だけど。
五月二十日の、内田と奈々の結婚式に俺も出席するから。もし幸子も行くんなら、そこで返して欲しい。じゃあ』
プツンと回線が途切れ、再生終了の合図が鳴る。
ーー檜も挙式に来れるんだ。芸能人なのに……大丈夫なのかな?
あたしはふと思案顔になり、一通のメールを作成した。
「今鳴ってたの、サチの携帯?」
洗面所から戻った彼が、何気なく訊ねた。
「え? ああ、うん。間違い電話なのか直ぐに切れちゃった」
「ふぅん」
マナーモードで、尚且つ、慌てて留守番電話に切り替えたのに、地獄耳もいいところ。
あたしは真顔で嘆息をもらした。
テレビのチャンネルを切り替え、少しボリュームを上げた。
八時を回り、慎ちゃんが仕事に出ると、あたしはようやくエプロンのポケットに手を入れた。
番号を見て檜からの電話だと分かり、慌てて留守電に切り替えたのだが。
ディスプレイには留守録有りのアイコンが出ていた。
ーーなに?
メッセージを再生し、携帯を耳に当てる。
ピー、という機械音の後に、彼の声が流れ込んだ。
『こんな朝からいきなり電話してごめん。鍵の件だけど。
五月二十日の、内田と奈々の結婚式に俺も出席するから。もし幸子も行くんなら、そこで返して欲しい。じゃあ』
プツンと回線が途切れ、再生終了の合図が鳴る。
ーー檜も挙式に来れるんだ。芸能人なのに……大丈夫なのかな?
あたしはふと思案顔になり、一通のメールを作成した。



