ボーダーライン。Neo【中】

「ほら。サチも今日ぐらい飯作らずに、ゆっくりしろよ?」

 ーー嬉しい。

 柔らかい笑みを浮かべる慎ちゃんに、あたしも釣られて微笑んだ。

「そうね。慎ちゃんがそう言うんなら、そうしよっかな?」

「ああ」

 今しがた外から帰宅したばかりだが、あたしは彼と二人でまた出掛ける事にした。

 慎ちゃんのちょっとした気遣いが嬉しかった。

 いつもより遅くなった理由(わけ)も涙の跡も何も聞かずにいてくれた。

 あたしの隣りにはいつも変わらぬ優しさをくれる慎ちゃんがいる。

 これで良いんだ。

 あたしの人生は、何一つ、間違えてなんかいない。


 ***