陸の向こう側に座る陽介も困った笑みで同意している。
確かに。僕は昔から向こう見ずに行動する所があり、その度に周りに迷惑を掛けている。特に恋愛が絡むとそうだ。
「透さん。ヒノキの世界は、いつでも“彼女”を中心にして回ってるんですよ」
それまでキッチンにいたカイがグラスを片手に、僕の左側の、斜め前に座った。一通りの料理が済んだのか、エプロンも外している。
「そこで今後どうするべきか。透さんも一緒に考えてくれません?」
「……どうするも何も。檜はその彼女とヨリを戻したいって、そういう事で良いんだよな? だから日本にとどまるんだよな?」
透さんの視線に答え、僕は深く頷いた。
「だったら連絡取って、後は会いに行くだけじゃん?」
「それはそうなんですけど。彼女、携帯を持ってなくて……簡単に連絡が取れそうに無いんですよ」
カイの嘆息に、透さんが「ああ、そうか」と呟いた。
「だったら家電に」
「はい。恐らくは、送り届けたまま実家にいると思うんですが。ヒノキは番号を知らないって。
たとえ調べて分かった所で、会って話す事は……ちょっと難しそうです」
「何で?」
透さんの素朴な疑問に、僕は口を開いた。



