ボーダーライン。Neo【中】


 陸の向こう側に座る陽介も困った笑みで同意している。

 確かに。僕は昔から向こう見ずに行動する所があり、その度に周りに迷惑を掛けている。特に恋愛が絡むとそうだ。

「透さん。ヒノキの世界は、いつでも“彼女”を中心にして回ってるんですよ」

 それまでキッチンにいたカイがグラスを片手に、僕の左側の、斜め前に座った。一通りの料理が済んだのか、エプロンも外している。

「そこで今後どうするべきか。透さんも一緒に考えてくれません?」

「……どうするも何も。檜はその彼女とヨリを戻したいって、そういう事で良いんだよな? だから日本にとどまるんだよな?」

 透さんの視線に答え、僕は深く頷いた。

「だったら連絡取って、後は会いに行くだけじゃん?」

「それはそうなんですけど。彼女、携帯を持ってなくて……簡単に連絡が取れそうに無いんですよ」

 カイの嘆息に、透さんが「ああ、そうか」と呟いた。

「だったら家電に」

「はい。恐らくは、送り届けたまま実家にいると思うんですが。ヒノキは番号を知らないって。
 たとえ調べて分かった所で、会って話す事は……ちょっと難しそうです」

「何で?」

 透さんの素朴な疑問に、僕は口を開いた。