「“それで良い”って」
「え?」
ーーそれで良い?
「多分社長はさ。ヒノキを試したんだと思うよ?」
「試す?」
ーー何のために?
僕は暫く押し黙り、深く考え込んだ。
海外行きの話を振られた時、社長は乗り気じゃないと言っていた。併せて得策じゃないとも。
そういえば、社長の今までを思うと、仕事に関しては全て“指令”と“命令”だった。
過去、初めてやったワンマンライブが良い例だ。
高三の頃、社長に出来ると断言され、路上ライブや学校祭を利用して客を集め、あの二日間のライブを決行した。
それなのに今回に関しては、放任主義もいいところだった。巧みな話術で、分岐点という言葉を使い、僕たちに選択をさせた。
社長は僕の独りよがりな考えに、気付いて欲しかったのかもしれない。
FAVORITEとしての今の活動が、今後に繋がる土台作りに過ぎず、自信を持って欲しいと思ったのかもしれない。
ミュージシャンなのだから音楽をやるのが当たり前だけど、だからと言ってその視野を狭めるな、と。暗にそう示していたのだろう。
「……俺は。不合格だな」
ーー上を見るばっかりで、考えが足らなさすぎた。
「いや。ギリギリ補欠合格だと思うよ?」
そう言ってカイは嬉しそうに笑った。
「え?」
ーーそれで良い?
「多分社長はさ。ヒノキを試したんだと思うよ?」
「試す?」
ーー何のために?
僕は暫く押し黙り、深く考え込んだ。
海外行きの話を振られた時、社長は乗り気じゃないと言っていた。併せて得策じゃないとも。
そういえば、社長の今までを思うと、仕事に関しては全て“指令”と“命令”だった。
過去、初めてやったワンマンライブが良い例だ。
高三の頃、社長に出来ると断言され、路上ライブや学校祭を利用して客を集め、あの二日間のライブを決行した。
それなのに今回に関しては、放任主義もいいところだった。巧みな話術で、分岐点という言葉を使い、僕たちに選択をさせた。
社長は僕の独りよがりな考えに、気付いて欲しかったのかもしれない。
FAVORITEとしての今の活動が、今後に繋がる土台作りに過ぎず、自信を持って欲しいと思ったのかもしれない。
ミュージシャンなのだから音楽をやるのが当たり前だけど、だからと言ってその視野を狭めるな、と。暗にそう示していたのだろう。
「……俺は。不合格だな」
ーー上を見るばっかりで、考えが足らなさすぎた。
「いや。ギリギリ補欠合格だと思うよ?」
そう言ってカイは嬉しそうに笑った。



