ボーダーライン。Neo【中】


「いいか、一週間以内だからな? その後はまた追って連絡する」

 端的に言い、カサイは逃げるように立ち去った。

「アレは図星だね」

 カイが目を細めて言った。

「……何で、キャンセル料って?」

「大方は当てずっぽうなんだけどね」

「え?」

「先生の挙式、来月だって言ってたよな? 来月のいつ?」

「十七日」

 カイはその数字に、納得した様子で頷いた。

「先生がどんな式をやろうと思ってたのかは知らないけど。
 結婚式の総額予算をさっきネットで調べたら、一位は二百五十から三百万だった」

「それで、三百?」

「いや。式の前日から起算して、遡った日数がキャンセル料に当たるらしい。
 十七日なら日数は後十九日。起算した日数が十日以内にならなければ、式のキャンセル料は五十パーセント。
 大体百五十万ぐらいじゃないかな?」

「百五十、か。じゃあそれが十日以内になれば……」

「当日じゃなければ八十パーセントになる。
あの人、一週間以内にって三回も言ったでしょ? 貯金をはたいて払えたとしても、その後の生活が苦しくなる。
 多分今、相当焦ってる筈だよ?」

 気の毒だね、と言い、カイは眉を下げた。