「自分の書いたメモ書きが何でここに有るのか、
不思議に思うよなぁッ!?」
「え、」
呟きをもらした瞬間、顔全体に衝撃を受けた。
「ッ……!!?」
ガツッと音を立て、勢いで後ろに倒れ込む。
床に体を打ち付けた痛み、それとは別に、頬の奥から込み上げる鈍痛で口元がジンジンと熱を帯びた。
ーーうそ、
いま。
殴られた……?
初めて感じる痛みだった。
口の中が切れ、錆びた鉄の様な味がする。
あたしは頬を押さえ、迫り上がる哀しみに頬を濡らした。当然の事ながら、男の人に殴られた事などただの一度も無い。
普段から温厚で優しい彼を、ここまで怒らせるなんて、あたしは何て大変な事をしたんだろう。
突如として、罪悪感に見舞われる。
足に力が入らず、へたり込んだままでいると、続いて腹部を蹴り上げられた。
「俺と結婚するつもりでいながらッ! 何で別の男と出来るんだよ……ッ!!」
「ッちゃ、やめっ!!」
「教師をしていながら、その生徒と付き合うって!? お前相当の男好きだよなぁ……ッ!!?」
「おねがッ、やめ……っ、」
激しくお腹を攻撃され、あたしは腹這いになって悶えた。



