ボーダーライン。Neo【中】


「自分の書いたメモ書きが何でここに有るのか、
不思議に思うよなぁッ!?」

「え、」

 呟きをもらした瞬間、顔全体に衝撃を受けた。

「ッ……!!?」

 ガツッと音を立て、勢いで後ろに倒れ込む。

 床に体を打ち付けた痛み、それとは別に、頬の奥から込み上げる鈍痛で口元がジンジンと熱を帯びた。



 ーーうそ、

     いま。

        殴られた……?



 初めて感じる痛みだった。

 口の中が切れ、錆びた鉄の様な味がする。

 あたしは頬を押さえ、迫り上がる哀しみに頬を濡らした。当然の事ながら、男の人に殴られた事などただの一度も無い。

 普段から温厚で優しい彼を、ここまで怒らせるなんて、あたしは何て大変な事をしたんだろう。

 突如として、罪悪感に見舞われる。

 足に力が入らず、へたり込んだままでいると、続いて腹部を蹴り上げられた。

「俺と結婚するつもりでいながらッ! 何で別の男と出来るんだよ……ッ!!」

「ッちゃ、やめっ!!」

「教師をしていながら、その生徒と付き合うって!? お前相当の男好きだよなぁ……ッ!!?」

「おねがッ、やめ……っ、」

 激しくお腹を攻撃され、あたしは腹這いになって悶えた。