ボーダーライン。Neo【中】

「いや。CMは別に良いよ? たださぁ……」

「ただ?」

「何か俺ら、方向性間違えてないかなって」

「と言うと?」

 僕は頬杖をついたまま、目線を宙に留める。

「俺らって肩書きは一応、ロックミュージシャンじゃん?」

「ああ」

「この間のバラエティーと言い、なんか違う方向に進んでる気がして」

「そうかな。僕は大丈夫だと思うけど……」

 彼なりのフォローは有難くもあったが、やはり胸の内がもやもやし、落ち着かない。

「それにさぁ、竹ちゃん。最近はそれぞれソロでの仕事も増えてきてるじゃん?」

竹ちゃんは、うーん、と顎を掻く。

「まぁ。檜の次で言ったら。カイの仕事量も多いし。もしかしたら、今年は陸と陽介に映画かドラマの話がくるかもしれない」

「え。そうなんだ?」

「ああ。この間、試写会後のパーティーで、向こうの監督やスタッフにえらく気に入られたみたいでさ。

 まぁ、本人らが売り込んでた節も否めないんだけどね?」

「へえ~」

 奴ららしいなと笑い、雑誌を机に置くと、ペットボトルの水をひと口飲み込んだ。

「さっきの意見で思ったんだけど」

 竹ちゃんは真面目な口調で話を戻した。