「行って何て言うの、担任教師をしていながら息子さんと付き合っていますって? あんたのしてる事は背徳行為なのよ?
 この子が十八になってるから訴えられる事は無くても、教育委員会に行かれたらどうするの、学校に言われたら??
 教師なんて続けられないのよ??」

 ーーやっぱり何が何でも認めないつもりなんだ。

 その証拠に、母はあたしの痛いところを容赦なく突いてくる。

「分かってる、分かってるよ!! それでも好きだから結婚したいって言ってるんじゃない!?」

 最悪、認められなくてもいい。檜と駆け落ちしてでも一緒になるという気持ちで、あたしは母に感情をぶつけた。

 不意に母は目に落胆の色を浮かべ、大袈裟にため息を吐いた。

「……幸子。あんた何で圭介くんと別れちゃったの??」

「なっ?!」

「あれだけ優しくてしっかりした仕事もして……。あんなに条件の揃った人、めったに現れないのに」

 母は本心から嘆いていた。

「檜の前でそんな話しないでよっ!!」

「まぁまぁ、母さんも幸子も止めないか」

 言い争うあたし達を止めるために父が口を挟むが、あたしは聞く耳を持たず、更に言葉を重ねた。