我先にと足を踏み出すと、カイの声が背中へ追い付いた。

「ヒノキが抜けた後。もしかしたら三人でユニットを組むかもしれないけど。それはそれでいいよな?」

「え?」

 僕は不意に振り返った。

「音楽だけで活動するのがヒノキの理想なんだろ? だったら俺らはそうやってバンドを続けてく。文句無いよな?」

 僕は曖昧に目を逸らし、そうだな、と頷いた。

「……陸と陽介に。何て言うかだけど」

「大丈夫だよ」

「え?」

 僕の隣りを通り越し、カイが言った。

「二人には、今夜俺から話をする」

 カイの言葉を受け、頼んだ、と。ただそのひとことしか言えなかった。

 ***