ボーダーライン。Neo【中】


「て言うか、美波さん。この事記事にしないで下さいよ? ちょっとした成り行きだったんですから」

 当人同士以外であの情事を知られていると思うと、顔の中心が熱くなる。

「しないわよ、親友の事だもの。
 ……て、言うか。その成り行きについて教えて欲しいのよね。サチ、誤魔化して何も言ってくれなかったから」

「はぁ?」

 ーーマジかよ、この人。カマ掛けたの??

 僕は顔をしかめて嘆息し、手の平で額を押さえた。

 チラと部屋の扉に目を向ける。僕は一旦立ち上がり、扉を開けて周辺に誰も居ない事を確かめた。

 ドアノブを引き、キチンと扉を閉めてからまた元の場所に座る。

 詳細を述べるのは少し躊躇われたが、声のトーンを落とし、慎重に言葉を選んだ。

「……まぁ、その。
 夜、道端でバッタリ出くわして。彼女がまだ話したいって言ったから、部屋に連れて帰って」

「で。食っちゃったと?」

「……まぁ。……そうです」

 美波さんは、あちゃー、と頭を抱えた。

「キミは。結婚前の女に何やってんのよ?」

「いや、俺がじゃなくて」

「え?」

「……あの時は。その、向こうから。抱いて欲しいって……お願いされたと言うか」

 言いながら、頬や耳まで熱くなる。

「えっ!? うそ!! え、サチが!??」