あたしは慎ちゃんの顔が見れず、シンクの中で視線を泳がせた。
「サチ?? 大丈夫か!?」
完全に平静を失っていた。指先が震え、唇をキュッと噛みしめる。
慌ててシンクへ駆け寄った彼は、心配そうにあたしを見やり、「怪我なかったか?」と両手に触れた。
「うん。ほら、大丈夫。何ともない」
言いながらいつも通りの笑みを作る。
慎ちゃんの優しさに罪悪感が募った。
「ごめんね、びっくりさせて」
「いや」
落とした皿は、幸い割れる事も無かったので、そのまま蛇口から水を出した。
「ええと。何の話してたっけ?」
知っていながら首を傾げた。
「え。……ああ、いや。別に大した話じゃ無いし、もういいよ?」
「そっか」
再び檜の話題を振られたらどうしようかと身構えるが、そうはならなかった。
檜との交際の過去を知られたらどうしよう。
胸に一抹の不安が過ぎるが、あたしは何とか気丈に振る舞い、後片付けに専念した。
***
「サチ?? 大丈夫か!?」
完全に平静を失っていた。指先が震え、唇をキュッと噛みしめる。
慌ててシンクへ駆け寄った彼は、心配そうにあたしを見やり、「怪我なかったか?」と両手に触れた。
「うん。ほら、大丈夫。何ともない」
言いながらいつも通りの笑みを作る。
慎ちゃんの優しさに罪悪感が募った。
「ごめんね、びっくりさせて」
「いや」
落とした皿は、幸い割れる事も無かったので、そのまま蛇口から水を出した。
「ええと。何の話してたっけ?」
知っていながら首を傾げた。
「え。……ああ、いや。別に大した話じゃ無いし、もういいよ?」
「そっか」
再び檜の話題を振られたらどうしようかと身構えるが、そうはならなかった。
檜との交際の過去を知られたらどうしよう。
胸に一抹の不安が過ぎるが、あたしは何とか気丈に振る舞い、後片付けに専念した。
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