ーー二人だけって。何で? 陸と陽介は?
「話が来たのはほんの一週間ぐらい前だけどな。キミらが敬愛するStar・Blacksからある提案が有った」
ーーStar・Blacksから?
デスクの引き出しを開ける社長の手元へ、自然と視線が吸い寄せられる。
彼が出したのは三枚の紙だ。
机上に並べたそれを近付いてから見ると、一人につき一枚の紙に、外国人の顔写真とそのプロフィールが載っていた。つまり三人についての人物評だ。
これは? と目で訴えると、社長はひとつ頷き、口を開いた。
「彼らはStar・Blacksの後輩バンドで、グループ名はgravy。早い話、Star・Blacksのギルド氏はそのgravyとキミらを組ませたいようなんだ」
つまりはヘッドハンティングに似た引き抜き、そういう話だった。
「その提案は。本当にエドが?」
僕は首を捻り、再度確かめた。
「ああ。ボーカルのギルド氏からだと俺は聞いている」
「けど社長。万一、僕達がそのグループと組んだとして、FAVORITEはどうなるんですか?」
「……どうもならない。ただ休止という状態になる」
ーー休止?



