「あれ? 陸と陽介はまだなんだ?」
彼らに歩み寄りながらサングラスを外し、何気なく言うのだが。
カイは真顔で首を振った。
「呼び出されたのは俺とヒノキだけ」
「え?」
カイの傍に立つ竹ちゃんへ自然と目がいく。
ーーどういう事?
竹ちゃんは困ったように眉を下げ、ひとつ、頷いた。
「竹原さんが言うには、詳細は社長からって事で。俺たちもよく分からないんだ」
そう言ってカイは溜め息を吐いた。
ノックをして部屋に入ると、然るべき場所に、三高社長が座っていた。
「檜。カイ。急に呼び出して悪かったな?」
「いえ」
社長が何を言わんとしているのか分からず、僕は返事をしながら、眉をひそめた。
明るい空気が立ち込める中、時計の秒針だけが室内に響いている。
「遠回しに話すのは好きじゃ無いから、単刀直入に訊く。……檜に、カイ」
「はい」
「キミらは海外で活動する気は有るか?」
「え、」
社長の鋭い視線に「海外?」とオウム返しに訊ねた。
ーーどういう意味だ?
僕は若干、狼狽えた。
「……それは、FAVORITEとしての、四人で活動するのでは無く、僕とヒノキの二人だけって意味ですか?」
「そうだ」
冷静なカイの質問を受けて、社長は腕を組み、ゆったりと微笑んだ。



