思い出してはいけないのに、あの刺激がどうしても忘れられない。
あたしは欲しがっていた。夢で慎ちゃんと見間違えるほど、彼を求めていた。
檜のくれる熱っぽい眼差しも、脳に心地よい痺れを起こすあのキスも、体の奥から突き抜けるあの快感も。
許されるならもう一度この身で味わいたい。
檜の全てが体に刻み込まれ、まるで麻薬のようだ。
平凡な日常に快楽が足りなくて、禁断症状のごとく求めてしまう。
檜と肌を合わせたい、ふとした瞬間に貪欲なあたしが顔を出し、ハッとする。
会ってはいけないと思っていた。会えば絶対に欲しくなる。
そうなればきっとタガが外れ、体だけ繋ぐセフレの関係に身を落とす。
勿論、合い鍵を返さなければいけない事は分かっていた。
檜に会いたい気持ちも、今更だが自覚している。
『俺はまた幸子に会いたい。駄目か?』
電話越しに聞いた彼の言葉を思い出し、あたしは唇をキュッと噛んだ。
「いらっしゃいませ~」
来店客に掛ける奥さんの声が、突如としてあたしを現実へと引き戻す。
あたしは頬を数回平手で打つと、いらっしゃいませ、と顔を上げ、緩んだ気持ちを引き締めた。
あたしは欲しがっていた。夢で慎ちゃんと見間違えるほど、彼を求めていた。
檜のくれる熱っぽい眼差しも、脳に心地よい痺れを起こすあのキスも、体の奥から突き抜けるあの快感も。
許されるならもう一度この身で味わいたい。
檜の全てが体に刻み込まれ、まるで麻薬のようだ。
平凡な日常に快楽が足りなくて、禁断症状のごとく求めてしまう。
檜と肌を合わせたい、ふとした瞬間に貪欲なあたしが顔を出し、ハッとする。
会ってはいけないと思っていた。会えば絶対に欲しくなる。
そうなればきっとタガが外れ、体だけ繋ぐセフレの関係に身を落とす。
勿論、合い鍵を返さなければいけない事は分かっていた。
檜に会いたい気持ちも、今更だが自覚している。
『俺はまた幸子に会いたい。駄目か?』
電話越しに聞いた彼の言葉を思い出し、あたしは唇をキュッと噛んだ。
「いらっしゃいませ~」
来店客に掛ける奥さんの声が、突如としてあたしを現実へと引き戻す。
あたしは頬を数回平手で打つと、いらっしゃいませ、と顔を上げ、緩んだ気持ちを引き締めた。



