ボーダーライン。Neo【中】


「え。だから、その。何となく、だって」

 彼女の問いから逃れる様に、あたしは視線を泳がせた。

「うそ、サチがそんな理由で禁酒するわけないじゃん」

 ーーう。それは確かに、ごもっとも。

 あたしはグッと口を噤み、若干言うのを躊躇った。

「なに? そんな言いにくい事? まさか病気とかじゃないよね??」

 好奇心から一転、不安な顔をする美波に申し訳なくて、あたしは仕方なく口を割った。

「……子供が欲しいの」

「え?」

「檜の、赤ちゃん」

「はぁっ!?」

 予想通りの反応に居たたまれなさを感じ、あたしは目を伏せた。

「……って。相手まだ高校生だよ!? 意味分かってる??」

「分かってるよ」

 美波は気持ちを落ち着けるため、そこで一旦息をついた。

「分かってる上でこんな事を言うのもアレだけど。
 あたしらが十八歳未満の子にそういう行為をさせるのは、れっきとした犯罪なんだからね?
なのにその証拠を作るって……」

 どうかしてる、と言いたげに美波は前髪を掻き上げた。