「マネージャーさん、ですか...。」

「うん。一応空きが出ちゃったからね。

深谷さんっていう人だよ。」

佐伯さんには新しいマネージャーさんがついたらしい。

「彼女は色々掛け持ちでマネージャーを請け負っているみたいで、大変そうだったよ。」

「そうですか...。」

女の人なんだな...。

「最近、大丈夫?
疲れてない?」

「大丈夫です。ありがとうございます。
佐伯さんは大丈夫ですか?」

「まつりに会えればどんな事も大丈夫だって思えるよ。」

「佐伯さん...。」

どんなときでも気遣いを忘れない佐伯さんってやっぱり素敵だな。

「...。」

「佐伯さん、どうかしました?」

「ふとしたときにまつりがこぼしてくれる微笑みって、すごく素敵だよね。」

「え...?」

「ごめん、変なこと言っちゃったかな。
思わず、ちょっと胸にきちゃったから。」

そ、それは...わたしも同じでした...。

佐伯さんに、きゅんとして...。

「オーディションが終わって色々あってからはあまり家にきてもらってゆっくり話すってことなかったもんね。」

「はい。すごく久しぶりに感じます。」

「うん...。」

「...佐伯さんは本当に色々活躍されてますよね。」

「まつりのおかげだよ。自分ひとりじゃどうしようもなかったから。」

「そんなこと。
私は何もしていませんよ。」

「俺はまつりがいないとだめだよ。」

...。

だめ、か...。

それは、すごく、うれしいんだけど...。

「佐伯さん...。」

「なに?」

「なんだか...ぜんぜん...やっぱりまだその...。」

「なれない?」

「ちょっとだけ...その...近い、ですから。」

「そうかな。」

だって、だって...。

自然と、みたいに後ろからぎゅっとしてくれてるけど。

耳元に息がかかって...。

あの、やっぱり声優さんに耳元で囁かれるってきつい...!!

いつまでたっても慣れない!!つらい!!

「はなす?」

「えっと...。」

「ほどいてもいいよ。まだ、そんなに力いれてないから。」

「え...、と。」

「あったかいね。」

「...。」

「はなさなくても、いい?」

「...はい。」