「まつり。CD届いた?」

「うん。限定版送ってくれてありがとう。」

「それで...どんな感じだった?」

「最高だった。どんどん引き込まれちゃって...。」

「良かった。今回は私だけじゃなくて、佐伯さんにも色々手伝ってもらったんだ。
歌詞は全部佐伯さんが考えて、曲構成も色々アドバイスもらったの。」

「そうなんだね。」

「スタジオにいたスタッフたちは圧倒されてたよ。これに敵うアルバムは他のアーティストでもしばらく出せないんじゃないかって。制作もすごくやる気出してくれてさ。」

「うん。」

「実は、これ初めは限定販売とかにしようと思ってたの。あんまり売ろうとか考えてなくてね。っていうのも、初めから本気出し過ぎっていうか。」

本気か...。

私も佐伯さんの収録付いていけばよかったかな。

なんだか邪魔しちゃいけないって思ったからあんまり介入しなかったけど。

「歌ってさ、歌う人の想いがやっぱり必要なんだ。今まで私の曲は、パフォーマンスとかもそうだけど、私の気持ちが独り歩きすることが多かった気がするの。

今回は、佐伯さん自身に、溢れんばかりの気持ちを吹き込んでもらったってわけ。」

そうなんだ...。

思えば、すごく豪華な曲や綺麗な曲もあったけど、ギターやピアノひとつや、アカペラとかもあったな...。

それがまた気持ちがこもってる感じがした。

「佐伯さん、意外とすごく情熱がある人なんだよね。アルバム構想の話してるときから思ったんだけど。」

そうなんだ...。

情熱...。

「それもさ、まつりの話をするともう止まんなくて。こんなに一途な人ならやっぱりそのまま恋の歌をいっぱい詰め込んじゃおうってその時に決めたんだ。」

...え?

「だから、あのアルバムは佐伯さんのまつりへの愛の結晶...なんだよね。

だから広めちゃうのもなんかなーって思ったんだけど、事務所からの猛プッシュが激しすぎて。こんなに良いアルバム売らなきゃ勿体無いよ!って。」

...。

今、またすごく顔が赤くなってる...。

「私はもう佐伯さんの良いところを早くも惜しみなく精一杯引き出せた感じするから、悔いなしっていうか。今の所の自分の作りたい音楽が作れたなって思う。歌詞はまだ佐伯さんに比べて未熟だってのも分かったかな。」

「そう...だったんだ。
ありがとう。」

「こちらこそ。
今まで協力してくれてありがとう。
これからもよろしく。」

「うん。」

...。

それにしても、佐伯さん...。

普段あんなに冷静というか、大人っぽい佐伯さんが...。

私への想いって...。

愛の...結晶...。

なんかやっぱり恥ずかしいよぉ!!!