「…と、いうことなんだと思う。」

封筒に書かれていた通り、141号室に来たら、湖川さんがいて、とても驚いたが、それは彼女も同じだった。原因を考えたところ、本田くんが僕にぶつかった時、お互いに封筒を落とし、拾う時に入れ違ってしまったのではないかという結論に辿り着いた。
今、その一部始終を湖川さんに話したところだ。

「そんなことがあったんですね…。」
「うん。取り敢えず…どうしようか。」

このままパートナーではない人と授業を進めてしまって良いのだろうか。しかし、封筒の中身は個人にしか分からないから、真島くんや本田くんの居場所は当然分からない。

「スマホは持っていないですし、他のペアの集合場所は分からないですし…。そもそも、一体誰と誰がペアになっているのかも分かりません。困りましたね。」

せめてスマートフォンがあれば、なんとかなったが、授業が始まる前に、全員分のスマホは先生に回収されてしまっている。
1つ例外があるとしたら、本田くんが先生の目を盗んで、スマートフォンを所持している可能性がある。彼はそのようなことをやりかねない人間だ。しかし、本田くんだけが持っていたところで、それはこの場面において、何の機能も果たさない。

「皆んなを探していたら授業時間が終わってしまうだろうし、パートナーではないけど、()ずは課題を進めた方がいいんじゃないかな。」
「そうですね。」
「課題は、クマのぬいぐるみを作るんだっけ?」
「はい。材料と説明書らしき物がそこにあります。」

この個室には、大きなテーブルと、コタツくらいの大きさのテーブルがそれぞれ1つずつあり、小さなテーブルの方に、材料と紙が置いてある。紙は2枚あり、1枚には文章が、もう1枚には地図がプリントされている。
僕はそれを手に取り、紙を開いた。