緑「じゃあ先に2人は向かってて。
流星は2人の運転手兼ボディーガードとして着いてって」
黄「了解」

こうして車で港まで出発した。

青「…緊張してる?」
「そりゃするよ。初めての現場だし、こんな服着ることも無いし」
青「天咲は俺がエスコートするから、大丈夫」
「うん、ありがとう」

いつも美容のことなんかを話す龍斗と、婚約者の設定で張り込むなんて誰が予想しただろう。
大きな緊張と、少しの高揚感をおぼえ港へ着く。
龍斗が右腕を差し出すから、私はその腕に左手を組んで船へ乗り込んだ。

〈いらっしゃい、さきさん〉
「あら社長。この度はご招待頂き誠にありがとうございます。
こちら婚約者の浩さんです」
〈初めまして。永井浩と申します〉

龍斗が社長に偽の名刺を渡す。
これを合図に、残りのメンバーが船へ乗り込む。

白「客室到着。これより奴らの監視を始めます。」
桃「こちらもOK」
紫「こっちも準備できたよ」

着々と準備が進む中、こちらもいよいよターゲットとご対面だ。

(初めまして。ご紹介に預かりました アンセム社の市川です)
青「初めまして、永井です。こちらが婚約者の、」
「さきです。社長にいつもお世話になっております」
〈まあまあ、あとは若いもの達だけでどうぞお話ください〉
「あら、ご一緒していただけないんですか?」
〈私は少し、代表に代わり他の方に挨拶を…〉
(ああ、悪いね)
青「ではまた後でごゆっくり」

こうして、3人での食事の席となった。
私の初陣が始まる。
深呼吸をしながら、前にあるグラスのドリンクを1口含んだ。