結婚間近のラブラブな時期なんだから、三日に一度ぐらいはするものじゃないの、とも思うが。彼はそういった欲求に鈍感らしく、別に頻繁にシなくても平気らしい。

 そりゃあ、あたしだって、とたらいの水を見て、内心でごちる。

 ーー特別、性的欲求が強いって訳でもないけど。ここまで求められないのも何だか寂しいっていうか。

 慎ちゃんは本当にあたしを愛しているの? ただ結婚相手を探してるだけじゃないの? だったらあたしじゃなくても……。

 そう思った所で溜め息をついた。

 彼の何に不満が有るんだろう。

 温厚で、いつも優しく、惜しげない愛を与えてくれる慎ちゃんに、あたしは一体何を求めているの?

 時期的なもので仕事も立て込んでいて、尚且つ疲れも溜まっているだろうから、恋人同士の営みが出来ない。ただそれだけなのに、自分に魅力がないから求められないんだ、とあたしは嫌な気持ちに支配されていた。

 ーー別にセックス依存症って訳じゃない。でも、週に一度ぐらいは男の人に抱かれて安心したい。 

 再び、寝室へ行き、鞄の中から日記帳を取り出した。

 布団の上に座り込んだまま、表紙を見つめ、檜の事を思い出した。

 性行為に関して、檜と慎ちゃんは真逆だった。