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「え!? さっちゃん先生結婚するの?! いつ??」

 水城さんは驚き、興奮を隠せない口振りで詰め寄った。

 日記の内容を思い返していたあたしは、一瞬反応に遅れる。

「う、うん。来年の六月に」

 言いながら苦笑した。

 もう"先生"じゃないんだけどな、と思いつつ、そう言えない状況にある。

 あのまま、パート先の店内で会話をしていると、水城さんの声が余程大きかったのか、厨房にいた奥さんがカウンターに顔を出した。

 来店した二人があたしの知り合いだと悟ると、時計を確認し、奥さんは快く昼休憩をくれた。

 買ったお弁当を彼女達に手渡し、自らも持参したお弁当を一緒に食べている。

 今は近所の公園だ。

 公園と言っても、子供が遊ぶ様な滑り台やブランコといった遊具は無く、そこここにベンチがポツポツあるだけだ。

 少し離れた場所には男女共にちゃんと御手洗いもある。

 ふと聞こえた笑い声に隣りを見やると、ひとつのベンチを挟んで、さっきのOLさん二人が同様にお弁当を食べていた。

「ジューンブライドじゃん!?」

 水城さんは破顔して言った。

「ええ」

「実は奈々達も、ね?」

 そう言って彼女は隣りの彼に目を向ける。