ボーダーライン。Neo【上】

『俺さ。そういう間接的なのって信用しないタチなんだ』

「え?」

『だってそうだろ? もし奈々に預けて、奈々が何処かで失くしたらどうするの?』

「……じゃあ。あたしから郵送するから、住所教えてよ?」

『はぁ? 今そういうの嫌だって言ったじゃん。それに住所は教えたくない』

 ーー教えたくないって。調べれば直ぐに分かるんだけど……

 彼の言葉はまるで屁理屈だ。

 あたしは嘆息しつつも、投げやりに訊ねた。

「じゃあどうすれば良いのよ??」

『直接会って返して貰いたいんだけど?』

「……え」

『俺はもう一度幸子に会いたい。駄目か?』

 ーー嘘でしょう? 何で?

 あたしは昨夜の彼を想い、また胸を押さえた。次第に動悸が早まる。

 檜との事は、たった一度の過ちだったと。どうにかこうにか自分を誤魔化しているのに。

 ーーどうしてそんな事……

「……やめてよ。もう二度と会わないって、あたし言ったわ」

『俺はそんなの納得してない』

「あ、あたし。結婚するんだよ? それにもう彼と一緒に暮らしてるの」

『……だから?』

「だから。もう彼以外の男の人には会えないし、こうして連絡も取れない」