檜の口調は、かつて付き合っていた頃と変わらぬ自然体だった。
「……そうですけど。どちら様ですか?」
敢えて知らない人と決め付け、また他人行儀に訊ねた。
あたしは右手でギュッと胸を押さえ、首筋のハイネックを正した。
深夜、檜の部屋を出てから近くのビジネスホテルに泊まった。
今朝部屋の鏡を見て、全身が熱くなった。
首筋から胸元、腹部に至るまで、紅く散りばめられた彼のキスマーク。
首筋のそれが隠れるよう、慌ててハイネックの服を購入し、着替えてから帰宅した。
昨夜一度きりと割り切って、あんなに求め合った相手だ。
婚約者がいるあたしにとっては浮気相手に他ならない。
ここで檜への愛情が、復活するのだけは避けたかった。
『渡した鍵を返して欲しい。借りパクはマナー違反だろ?』
あたしはソファーに腰を据え、小さく息をついた。
「何でアドレス知ってるの?」
『奈々から無理やり聞き出した』
「そう。じゃあ鍵は水城さんに預けるから、彼女から受け取って?」
「……そうですけど。どちら様ですか?」
敢えて知らない人と決め付け、また他人行儀に訊ねた。
あたしは右手でギュッと胸を押さえ、首筋のハイネックを正した。
深夜、檜の部屋を出てから近くのビジネスホテルに泊まった。
今朝部屋の鏡を見て、全身が熱くなった。
首筋から胸元、腹部に至るまで、紅く散りばめられた彼のキスマーク。
首筋のそれが隠れるよう、慌ててハイネックの服を購入し、着替えてから帰宅した。
昨夜一度きりと割り切って、あんなに求め合った相手だ。
婚約者がいるあたしにとっては浮気相手に他ならない。
ここで檜への愛情が、復活するのだけは避けたかった。
『渡した鍵を返して欲しい。借りパクはマナー違反だろ?』
あたしはソファーに腰を据え、小さく息をついた。
「何でアドレス知ってるの?」
『奈々から無理やり聞き出した』
「そう。じゃあ鍵は水城さんに預けるから、彼女から受け取って?」



