僕は液晶に浮かんだアドレスをサイドボタンで、フッと消した。
ーーこんな事なら昨日、婚約者の情報も聞いておくんだった。
仕方無く、今聞いたアドレスへメールだけを送信した。
【渡した鍵を返して欲しい】
短い文章で敢えて自分の名前を書かなかったが、内容で僕だと分かる筈だ。
それに鍵だけじゃない。幸子と会ったら机上にある三万円も返すつもりだ。
とりあえず今日は久しぶりのオフだし、部屋でくすぶっているのも勿体無い。
着替える為に寝室へと足を向け、ふとベッドが視界に映る。
幸子が包まっていたシーツを持ち上げ、顔を埋めた。
ほのかに香る彼女の残り香に、ギュッと胸が締め付けられた。
***
ーーこんな事なら昨日、婚約者の情報も聞いておくんだった。
仕方無く、今聞いたアドレスへメールだけを送信した。
【渡した鍵を返して欲しい】
短い文章で敢えて自分の名前を書かなかったが、内容で僕だと分かる筈だ。
それに鍵だけじゃない。幸子と会ったら机上にある三万円も返すつもりだ。
とりあえず今日は久しぶりのオフだし、部屋でくすぶっているのも勿体無い。
着替える為に寝室へと足を向け、ふとベッドが視界に映る。
幸子が包まっていたシーツを持ち上げ、顔を埋めた。
ほのかに香る彼女の残り香に、ギュッと胸が締め付けられた。
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