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 寝室を満たす水音と甘い声が、耐えず僕の脳を刺激する。

 クリーム色の壁に取り付けたブラケットライトが放つのは、ほのかなオレンジ色。

 ライトに照らされる彼女の姿態がやけに艶めかしい。

 淫らに開いた脚の間を指でなぞり、更に奥へと沈ませる。彼女はビクビクと体を震わせた。

 逐一反応を確認したくて幸子の表情を窺った。

 彼女は半開きの目を潤ませ、何処か遠くを見つめている。

 時折唇をぎゅっと引き結び、けれども僕の指の動きで即座に嬌声を上げる。

 僕は舌舐めずりをし、その赤い唇を塞いでやった。切なげに鳴く声が僕の口中へと吸い込まれる。

 幸子を征服している。この感覚がなお一層僕を奮い立たせた。

 つい数分前。僕たちは玄関先で抱き合っていた。

 色香の漂う幸子を見つめ、僕は堪らずにその手を引いた。

 ベッドの前に突っ立ったまま、互いが欲望のままに唇を求めた。

 背中のファスナーを下ろし、中のホックを外した。幸子も僕のカットソーに手を滑らせ、腰から上にたくし上げた。

 一度唇を離してから服を脱ぎ、ベッドの上に幸子を組み敷いた。

 再び唇を合わせる。舌を絡ませ、興奮が脳に達する。

 度重なるキスのせいで幸子の唇は紅くぽってりと潤んでいた。

 そこを舌でなぞり、甘噛みしてから首筋に吸い付いた。