ボーダーライン。Neo【上】

「何ですか? 訊きたい事って」

「あ。秋月くんの、事なんだけど」

「ああ~、うん」

 カイくんは口元を緩めたまま、曖昧に視線をずらした。

「あの子、ずっと学校休んでるでしょ? 風邪って言ってたけど大丈夫なの?」

「はい。大丈夫ですよ?」

 五日も休んでいるのに、それは無いだろう、とあたしは眉根を寄せる。

「でも、今日でもう五日目よ? 今電話もしてみたけど、それも繋がらないし」

 秋月くんの近況を知るのは、もう一緒に暮らしているカイくんだけだった。彼だけが頼みの綱だった。

 あたしはため息をつき、カイくんを見上げた。

 彼はにっこりと微笑み、あたしの図星を突いてきた。

「そんなにヒノキの事が気になる?」

「え」

 思わず赤面した。

「あ、当たり前でしょ。生徒なんだから」

 何て狡い言い方だと、あたしは自分をなじった。頬から耳まで熱くなった。

 カイくんはそんなあたしを見透かし、楽しそうに、だよね、と同意した。

「そ。それに、期末考査の答案用紙も。返さなきゃいけないし」

 言い終えてすぐに俯いた。

「テスト用紙は俺からヒノキに渡しておくよ」

「え」

 パッと目を上げ、青い瞳とぶつかる。あたしは分かりやすいほど、落胆していたと思う。