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 十二月下旬。ホールでのクリスマスライブは三日続けて、のべ五万人を動員し、大成功で幕を閉じた。

 翌日。ライブの疲れを若干引きずりながらも、僕は変わらず仕事に向かった。

 控え室で届いたメールを読み、フッと口角を上げる。

 今は、これから始まる試写会のスタンバイ待ちで、メンバー達はそれぞれ携帯や雑誌を見たりして、時間を潰していた。

【開始時間は五時。団体人数で予約取ってるから、一応個室な? 着いたら店員に俺と奈々の名前言って貰えれば分かるから】

 内田のメールに了解の有無を返した。

【分かった。遅くても八時には行けると思うから】

 仕事が終わったら、今日は予《かね》てから約束していた、彼らとのクラス会だ。

 一応祝いの席でもあるので、花を持って行こうと考えていた。既に予約しておいた花束を、今マネージャーの竹ちゃんが受け取りに行っている。

 クラス会に指定された場所は都内の居酒屋。飲んで喋って二次会、三次会という流れになるだろうが、僕は元よりアルコールを摂るつもりは無いので、今日は車で来ていた。

 (たしな)む程度の酒なら構わないが、専ら事務所から規律ある行動を義務付けられているので、羽目を外す訳にもいかない。

「それではFAVORITEの皆さん、スタンバイお願いしまーす」

 扉をノックし、外からスタッフの声が掛かかった。

 僕たちは腰を上げ、会場内へと向かった。