最近、キレイになった?【奈菜と南雲シリーズ②】

気の置けない友人の、キレイな顔を思い出しながら口を開く。

「入社してからずっと彼氏がいないからって、バカにしないでよね。私のことキレイだって言ってくれる男の人だっているんだから」

隣に座る南雲とは反対側に、つんと顔を上げながら言った。

『物好きもいるもんだな』

返ってくるであろう言葉を予測して身構える。けれどいつまで経っても何の言葉も返ってこなかった。


「南雲?」

黙ったままの彼の方を向くと、カウンターの向こう側を真っ直ぐ見る横顔が目に入った。
まるで壁の向こうに天敵でも見つけたみたいに、睨みつけている。

「南雲……?どうかしたの?」

もう一度呼びかけた私の声など届いてないみたいで、彼はしばらくそのまま黙っていた。