最近、キレイになった?【奈菜と南雲シリーズ②】

空耳だったらどうしよう。もしかして私、酔って寝ちゃってる?
瞬時に色々な言葉が頭を巡る。

どうしよう。
でももし―――

「夢なら醒めちゃダメ……」

思わず口からこぼれた言葉に、頭の上からぶはっと笑う声がした。

「ひとの告白、夢オチにすんじゃねぇよ」

くくくくっと彼が笑う度に、背中に回る腕も上下する。

「あの…南雲?」

「うん?」

「本物?」

思わずそう訊ねると、南雲は一瞬固まってから、ぶはっとまた吹き出した。

「やっぱり最高だな、おまえ」

「褒めてないでしょ……」

「じゃあさ、試してみる?」

「え?」

「俺が夢か本物か―――」

(どういうこと?)

首を(かし)げたと同時に、街灯の光が(かげ)った。

「っ、」

頬に温かなものが触れ、軽く音を立てて離れていく。

「な、な、な、……」

右頬に残る柔らかな感触。そこに手を当てて真っ赤になる私に、南雲は甘く囁いた。

「おまえ、最近、キレイになったよ―――俺のおかげだな」

「な、な、なんで?」

「恋をするとキレイになるんだろ? 」

(それってまさか―――)

私の気持ち、バレてたの?

疑問符が浮かび上がったと同時に、私の唇は温かな感触で塞がれた。






【了】