最近、キレイになった?【奈菜と南雲シリーズ②】

頭上からくくっと笑う声がする。

(こんな時まで人をからかって!!)

こんなに切ない気持ちにまでなって南雲に謝った私のことを、こんなふうにからかうなんて。
怒りを通り越してなんだか悲しくなってきて、瞼にじわりと熱を感じた。
彼の胸を両手で押し返そうとした、その時。

「そもそもこんなに分かりやすくアピってるっていうのに―――彼氏がいないとか言うし」

「な、なぐ、」

「俺はちゃんと『デート』だって言っただろ?」

「な、」

(しま)いにゃ、『私のことキレイだって言ってくれる男の人だっている』、だって?おまえ、俺のこと煽ってんの?」

「なっ、」

「………まあそれがおまえらしいと言えば、それまでか」

南雲が頷きながら呟く。まるで自分に言い聞かせるみたいに。
それから、ふぅっと長い息をつく。そして一呼吸置くと今までにない真剣な声で言った。

「俺は、ずっとキレイだと思ってた」

聞こえた言葉に、両目を見張った。

「今頃それに気付いたやつらに渡すつもりはないんだよ」

「なっ、」

「おまえ、さっきから『な、』しかいってないぞ?いくらナナだからって」

くくくっと笑う声が、耳元をくすぐり、吐息に身を竦ませる。

「な、なぐ、も―――」

やっと口に出来た名前。すると、いつもより少しだけ低く、掠れた声が囁いた。

「奈菜。俺と付き合って」

心臓が痛いほど跳ね上がった。