夏になって、みんなと一緒に夜の海岸までドライブに行った。

立ち寄ったアイスクリーム店で買ったソフトクリームを手に、俺は彼女と同じ夜のベンチに座る。

「何味にしたの?」

「抹茶」

「ふーん」

前は確か、キャラメルリボンだったはずなのにな。

俺は自分の手にしたそれを、どうしていいのかが分からなくて、彼女の緑のクリームを見ている。

「ひとくちちょうだい」

「いいよ」

そう言って彼女は、カップの根元にスプーンがささっているままのそれを、俺に差し出した。

その瞬間、どうしたら正解なのかが、分からなくなる。

俺はそのまま彼女の手のなかのアイスにかぶりついた。

「俺のも食べる?」

「いいの?」

俺は同じように、それを差し出す。

彼女は小さな唇をわずかに開いて、その先端を口に含んだ。

「おいしい」

俺は急に恥ずかしくなって、慌てて視線を外す。

溶けそうなほど柔らかくなったそのアイスを、一息で飲み込んだ。