まずは、女性側の花元かりんさん。
事務所にアポを取り、明日内容を説明しに、向かう。
花元かりんさんの情報は、ネットで確認できた。

花元かりん。
23歳。168㎝。スレンダーで綺麗な女性。目力が強いが、笑った顔が優しく、そのギャップが魅力で人気急上昇中。

今、輝いている女性ね。

さて、次は男性側の塚本蓮翔さんね。
IT業界で、今注目を浴びている人なんだ。
塚本蓮翔。
25歳。185cm。イケメン。端正な顔立ちでR&Aの社長。独身。主にアプリのソフト開発の会社でかなり人気のソフトが数多くある。

蓮翔……。
ネットに乗っている画像を見る限り、蓮翔に似ているような気がする……
もう7年も前のことだし、あの頃と容姿も変わっていると思う。
だからもし、蓮翔だとしても問題ない。
蓮翔と再会しても大丈夫なはず。
私は今でも好きだが、蓮翔はもう覚えていないだろう。
私もあの頃より成長しているはずだから。
それに私だと気づかれたとしても、蓮翔が私を好きになることは有り得ないのだから。

高校の時も、そうだった。
私だけが大好きだった。
だから忘れようと何度もしたが、ダメだった。だから今は心の中でだけ好きでいる。

私の初恋で、最後の恋。

彼は、高校3年間ずっと同じクラスで仲が良かった。というよりは犬猿の仲。私は、高校の時から気が強く、女子といるより男子といるほうが多かった。それはあくまでも蓮翔がいてくれたからだ。

私は、人よりも背が高い。高校生で170cm。それだけで注目を浴びていた。少しでも女の子らしく見せたい為に髪を伸ばしてみたが効果なし。いつも見た目で判断されて中学の時は、ウジウジしていた。そんな自分が嫌で、電車で30分かかる地元から少し離れた高校に入学した。

そこで出会ったのが塚本蓮翔。

席が隣同士ということもあり、よく話しかけてきてくれた。今、思えば私らしくいられたのは、蓮翔のおかげだ。ずっとそばにいたかった。私が自分の気持ちを隠し通すことができたら、今も友達でいられたのかな?


あ~っ、過去のことは忘れて今、この仕事を頑張らないと。


塚本さんの会社にアポを取ると、今日は午後から少し時間が取れるということなので、さっそく会社に向かう準備をする。
秘書の滝野さんに午後2時に会社に来てほしいと言われ、それまでに今回の特集の資料を作成した。

早めにカフェで軽い昼食を取り、彼の会社へ向かった。

R&Aは、オープンテラスのカフェと奥にはスポーツクラブがあり、社員がリラックスできる空間が設けられている。
受付に行くと、女性が2人いた。通り過ぎる社員もみんな生き生きしている。私も今までいろんな会社へ行ったが、ここまでのエネルギーを感じる会社は、初めてかもしれない。従業員を第一に考えている会社なんだと思う。


「今日、2時から打ち合わせをさせて頂く、SHINEの山中と申します。秘書の滝野さんと連絡を取って頂けますか?」

「かしこまりました。少々お待ちください」

待っている間、周りを見渡すと、ここは本当にいろんな人がいる。いつもなら私1人が背が高く目立ってしまうが、ここには、私みたいに背が大きい人もいれば、背の小さい人、外国人もいる。実力さえあれば関係ない。そんな雰囲気だ。

しばらくして、受付の人に社長室に行くように案内された。3階に行くと、秘書室があり、そこに秘書の滝野さんがいた。

「急で申し訳ありませんでした」

「いえ、こちらこそ時間を作っていただきありがとうございます」

滝野さんは、私が思い描く秘書のイメージとは違い、優しい笑顔が印象的な人だ。いわゆる爽やかなイケメンだ。誰かに似てる気がする……でも今は思い出せない。