死のうと思った日、子供を拾いました。

「愁?」
 テーブルの横にある通路から声がした。声がした方を向いてみると、そこにはお昼頃に会った三人家族がいた。

「あ。郁也」
 子供を見て愁斗は声を上げた。
「お昼頃はありがとうございました」
 真希さんがすぐさま郁也の両親に頭を下げる。俺と新太も続けて頭を下げた。
「いえ、こちらこそありがとうございました」
 郁也の両親もすぐにお辞儀を返してくれた。

「ここがいいー!」
 愁斗の隣に座り込んで、郁也は笑った。

「こら。隣の席にしようね?」
 郁也の顔を覗き込んで、母親は笑う。
「嫌だ! ここで食べる!」
 郁也が母親を見て叫んだ。
 短時間で随分仲良くなったんだな。

「郁也!」
「気にしないでください、俺は大丈夫なんで」
 愁斗の言葉を聞くと、郁也の両親は両手を合わせて申し訳なさそうに頭を下げた。
「ごめんね。じゃあお願いできる?」
「はい。一緒に食べよう、郁也」
「うん!」
 瞳をきらきらと輝かせて、郁也は頷いた。

 愁斗は真希さんに断りを入れてから、メニュー表を郁也に渡した。まるでお兄ちゃんだな。愁斗は郁也に付き合って、お子様ランチを注文することにした。真希さんはハンバーグを俺と新太はステーキを頼んだ。
 店員がお待たせしましたと言って五人分の食事を運んでくる。
 お子様ランチはハンバーグとエビフライと、のりたまのふりかけがかかった白米とプリンのセットだった。

 エビフライにタルタルソースをかけると、郁也はそれを噛みながら言った。
「愁ってどこの学校通ってるの?」
 その質問はどうなんだ。学校にあまり行っていない愁斗からすると、相当答えにくい質問なんじゃないか?

「立木市《たてぎし》にある会津《あいづ》中学」
「じゃあ僕の学校の隣だ! ねえ愁、明日から学校一緒に行こう?」
 明日はじゃなくて、明日からなのか。毎日一緒に学校に行きたいなんて、随分愁斗を気に入っているんだな。