死のうと思った日、子供を拾いました。

 菓子折りを全て配り終わった頃には、すっかり日が落ちていた。そのため、俺達はすぐにファミレスに行った。まだ六時過ぎだから店はあまり混んでいなくて、すぐに窓際にあった四人席に案内してもらえた。

「はあー。流希、俺ビール飲んでい?」
 新太は手元にあった水を飲んでから、ため息をついた。水では物足りないのか。

「お前明日仕事だろ」
「そ、そうだけど……。ちゃんと自制するから」
「却下。愁斗が興味持ったらどうするんだ。それにお前、自制なんて無理だろ。一度飲んだらずっと飲んじゃうんだから」
 俺が一蹴すると、新太は残念そうに肩を落とした。

「え、そんなに飲んじゃうんですか?」
「はい。だから大学生の時はいつも二日酔いになってました」
「うわ、ダメ学生の典型だな」
 俺の言葉を聞くと、愁斗は嫌そうに眉間に皺をよせた。
「愁斗にだけは言われたくねぇ。俺はお前ほど学校さぼってないからな」
「あっそ」

 新太から目を逸らして、愁斗はテーブルの端にあるメニュー表をとった。
 メニュー表の隣にはタブレットが置かれていた。タブレットの中央には『注文をはじめる』と書かれていた。たぶん中央を触れば、食べられるものが画面に表示されるんだろうな。
 漢字が読めなかったからメニュー表をとったのか?

「流希、予算は?」
 愁斗が顔を上げて俺を見る。
 今日一日付き合ってくれたお礼に飯を奢ると言ったから、お金は大丈夫なのか気にしてくれているのか。

「ファミレスは安いから好きに頼んでいい」
「……わかった。ありがと」
 素直だな。
 真希さんは目を薄くして、愛おしそうに愁斗を眺めた。

「姉ちゃんは何頼むの?」
「私? うーん、ハンバーグにしようかな。愁斗は?」

 俺はタブレットを操作して食べられるものが表示されるようにしてから、隣にいる新太に渡した。

「あざ! あービール飲みたい!」
 タブレットの画面を見て、新太は叫んだ。

「うるさい。それ以上同じことを言うとお前の分は奢らないぞ」
 新太は俺に目を向けると、歯をいーっと横に伸ばした。
 こういう時は無視が一番だ。
「はあ。わかったよ」
 新太はもう一度画面に目を落とすと、指を動かして食事を選んだ。