死のうと思った日、子供を拾いました。

 ショッピングモールに着いた。
 エスカレーターのそばの壁に貼ってあるパネルに目を向ける。どうやら地下で花や菓子折りを売っていて、一階で野菜や肉などの食品を売っているようだった。

 エスカレーターで地下に降りたら、すぐに花屋が見えた。

「流希、花買えば? ガーベラなくなってたじゃん」
「俺は育てられない」
 今もこれからも、俺が花なんて買ったら枯らすに決まっている。

「私が育てますよ、夏菜さんの代わりに!」
「真希さん、ありがとうございます。でも結構です。今は花を見るのも嫌なので」
「ああ、そうか。悪い、気が利いてなくて」
 新太は罰が悪そうに髪を触った。
「いやありがとう」

「お菓子何にします? マドレーヌとかですかね?」
「そうですね……野球サークルのみんなにはチョコレート、夏菜の友達にはマドレーヌがいいかもしれません」
 野球サークルの奴らはいつも汗をかいているから鉄分が必要な気がする。
 社長と教授はどうしよう。店を回って決めるか。
 菓子折りを買ったら、四人でフードコートに行った。

 ラーメンにパスタ専門店にたこ焼きにうどん、ハンバーガーにチキンになどさまざまな食べ物を売っている店がある。
 フードコートには何十組ものカップルと、男同士や女同士で談笑をしている人達がいた。窓の外にある景色を見たり、目を輝かせてたこ焼きやラーメンなどの食べ物を口に運んだりしている。

 ほんの一週間くらい前までは、俺も夏菜とこのありふれた景色に溶け込んでいたのに。
 涙腺が緩みそうになった。
 俺は慌てて人々から目を背けた。

「姉ちゃん、アイス食いたい」
 フードコートの中央辺りにあるアイス屋を指差して、愁斗は言った。
 真希さんは俺を見ると、愁斗の手を引いて俺の隣にきた。
「流希さん、愁斗にアイス買ってくれませんか?」
「はあ? なんでこいつと?」
 愁斗が俺を指差して不満そうに口を尖らせる。

「え、俺ですか?」 
 真希さんが買いに行かなくていいのだろうか。

「はい。お金はお支払いするので。お願いできますか?」
「……わかりました。でもお金はいいです」
 買い物に付き合わせてしまったんだしこれくらいは払いたい。

「え、そんな悪いです」
「高校生に払わせるほうが悪いですよ。な、愁斗」
 俺の方を叩いて、新太は笑った。
「えー姉ちゃんは」
 真希さんを見てから愁斗は頬を膨らませる。
「本当にシスコンだなあ、愁斗は」
 新太は面白そうに喉を鳴らした。
「そんなんじゃねぇし!」
「……食べないのか?」
「食べる!」
 俺が聞くと、愁斗はすぐにそう言ってアイス屋に向かった。
「扱いやすいなあ」
 愁斗を眺めながら新太は呟いた。
 本当にその通りだな。