死のうと思った日、子供を拾いました。


 新太が愁斗の前に行った。

「愁斗、買い物行くか」
 新太が愁斗を肩車した。

「え、新太?」
 思わず声を上げた。
 何してんだ、こいつ。

「は? 降ろせ!」
 愁斗は身体を左右に揺らして、解放してほしいことを示した。

「買い物行きたいんじゃないのか?」
「そうだけど」
「なら大人しくしてろよ、連れてってやるから」
 愁斗は急に暴れるのをやめた。切り替えが早すぎる!

「新太さん? そんなことしなくていいです!」
「気にしないでください。別にいいんじゃないすか? 遅刻も欠席もあんま変わりませんし。似たようなもんですよ」

 確かにそうかもしれないけど、真希さんはサボり間なら遅刻してでも行った方がいいと思ったから行こう? って言ったんだろ? それなのにその言葉はどうなんだ? 行かせたいって気持ちを余計募らせるだけじゃないか?

「それはそうかもしれませんけど、学校は行かせないと」
 
 ほら。やっぱりそうだ。

「行かなくたっていいんですよ、学校なんて。別に、頭が良かったら絶対に人生に失敗しないわけでもないんですから」

 そして頭が悪かったら絶対に人生が楽しくならないわけでもない。

 婚約者が死んだ俺は人生に失敗したのか? ……そうじゃないとは言えないよな。

「大学でギリギリ留年を逃れたお前が言うと、随分説得力があるな」
 暗い気持ちを隠したくてわざと明るく振る舞った。

「うるっせえな! ちゃんと卒業したんだから別にいいだろ!!」

 新太が目尻を下げた。
「まだ生きる気あるか?」って聞いた時と同じ顔だ。落ち込んでいるのがわかったから、そういう顔をしているのか?

 じゃあ俺、また口角上がってなかったのか? ちゃんと上げたつもりなんだけど。

「うるっせえな! ちゃんと卒業したんだから別にいいだろ!!」