死のうと思った日、子供を拾いました。



「それじゃあ私は部屋に戻って買い物の支度をしますね……ああ! 大変! もう登校時間過ぎてる!」

 玄関の方を向くと、真希さんは急に声を上げた。
 登校時間? 真希さんのじゃないよな。

「愁斗の学校のですか?」

 玄関の前にある壁に時計があったから気づいたのか。

「はい」
 時計を見つめながら、真希さんは頷いた。

「愁斗って弟さんですか? まだ学校行ってないんですか?」

「はい。サボり魔で」

 新太の言葉に頷くと、真希さんはため息をつきながら靴を脱いで、ダイニングに戻った。

 新太に上がっていいよと言って、俺は真希さんの後をついて行った。「お邪魔します」と言って新太が俺の後に続いて、ダイニングに入ってくる。

 愁斗はダイニングで呑気にテレビを見ていた。

 いつも学校に行くふりをしているのではなかったのか?

 初めて会った時も昨日も制服だったから、てっきりそうだと思い込んでいた。

 愁斗が座っている椅子の前にはテーブルがあった。食事をしていた時といる場所が全く変わっていない。まるで愁斗がいるところだけ時間が止まっているかのようだ。

「愁斗、学校行こうか?」

 テーブルにあったリモコンをとって、真希さんはテレビを消した。

「やだ。……姉ちゃん達出掛けるんだろ。それなのに俺だけ学校なんて絶対行かない」

 愁斗は頬を膨らませて、真希さんから目を逸らした。

 とてもは不満そうだ。まぁそれもそうか。いつもだったら真希さんは家で家事か勉強をしているのに、今日はそうじゃないのだから。

 真希さんが夕ご飯の買い物をするなら、それは必要な事だから愁斗も文句はないだろう。けれどそうじゃないからなぁ。それに、俺はもう何回か愁斗と真希さんと時間を共にしているけれど、新太は初対面だからなぁ。もしかしたら俺の友達でも、真希さんが何かされるんじゃないかと心配しているのかもしれない。そんな風に考えていたら、学校なんて行けるハズもないよな。

 まあ、行っていないのはいつものことなのだろうけど。