湖畔の子供たちの声が響く。
風が水面を撫でて波を起こす。
ポチャリ、小さな音がして小さなブーメランが落ちて来た。
湖の中ほどに、沈むことなく揺らめいている。
何故だかその周りだけとても温かく感じるから不思議じゃった。
きっと特別なものじゃろう。
どれ、返してやろうかの。
わらわはユラユラと立ち上がった。
風が起こしたさざ波を、少し大きくしてやろう。
時間はかかるかもしれないが、岸に流れ着くはずじゃ。
と、その時じゃ。
ピシリとわらわの頭上が嫌な音を立てた。
わらわの大切な水面が、冷え冷えとして固くなる。
美しい錦の揺らめきが動きを止める。
いやじゃ、いやじゃ、わらわが波を起こしているのになぜ止める?



