彼女は俺のことを生まれた時から知っている。だけど俺は彼女の生まれた時を知らない。

2つ年上の、隣の家の幼なじみ。


特別な感情を抱くのに時間はかからなかった。ずっときみが欲しくて、欲しくて、そして大嫌いだった。


大学生になって都内の大学に通うようになった彼女は綺麗になった。そして彼女を綺麗だと思うのは、もう俺だけではなかったらしい。







「どうしよう、デートすることになっちゃった」

1週間前、頬を赤らめて俺に報告した彼女に、息の根を止められた気がした。


「…へえ、よかったじゃん。そんな物好きがいて」

「もう、りっちゃんに言うんじゃなかった」

「じゃあなんて言ってほしいわけ」

「…どうして怒った顔するの?」

「……行くなよって思ってるから」

「え、」



呆気にとられたようなアホ面の彼女を置いて、俺は家に帰った。行くなよって、言ったのに。