「もし平山先生のことが好きなら、やめておいた方がいいよ?」


途端に顔を上げ、真剣な表情で言われてたじろいだ。


それはあたしが大山さんに忠告しなければならない言葉だったからだ。


「どうして?」


「ここだけの話なんだけどね……平山先生、美術部員には随分と手を出しているみたいなの」


そう言う大山さんの声が微かに震えた。


「まさか、大山さんも?」


「やめてよ、あたしは違うから!」


大山さんは大げさなくらい左右に首を振り、手を振って否定した。


「そっか。随分と手を出してるってことは、1人や2人じゃないってこと?」


「うん。あくまでも噂だけどね」


「そっか」


あたしは多くは聞かずに頷いた。