私は社長と暮らす事になった。
引越しをして、アパートを解約した。

「目黒ともう会うな、いいな」

「はい」

目黒くんにはちゃんと付き合いをやめると言ったので、これで終わりかと思っていた。

次の日、総務部で目黒くんが声をかけてきた。

「つばさ、今夜デートしよう、空けといてね」

「えっ?目黒くん、私達は付き合いやめたんだよね」

「だから、また誘ったんだけど・・・」

「待って、私ね・・・」

社長とのことを伝えようとしたら、始業のチャイムが鳴った。

「ほら、仕事、仕事」

「あ、うん」

あ〜、どうしよう、なんで目黒くんにはちゃんと言えないのかな〜

終業のチャイムがなり、目黒くんが声をかけてきた。

「つばさ、裏口で待ってて」

私はちゃんと言わなくちゃと目黒くんを引き止めた。

「目黒くん、私、もう目黒くんとはデート出来ない、ごめんね」

「どうして?」

目黒くんは不思議そうな表情で私を見つめた。

「私、社長と暮らし始めたの」

「社長と?」

目黒くんはなぜか落ち着いた表情で、何かを考えていた。

「社長が好きなの?」

「うん」

「そうか、でも社長には婚約者がいるよ」

「えっ?」

私は目を丸くした。

「知らなかったの?」

「うそ!」

私は信じられないと息を飲んだ。