甘やかすのはキミ限定。

「私がいない方が、きっとみんな、部活に集中できて……」

「そんなわけない。断言してあげる」



ああ、泣かないで……。

泣き止ませてあげたくて、よしよしと頭を撫でる。

しおちゃんはますます困ったように、眉の端を下げた。



「キャプテンは、優しいから……」



……あれ?

俺、善意で言ってると思われてる……?



「俺、別に誰にでも優しくないよ?」

「……え?」

「しおちゃんだから優しくしてるし、しおちゃんだから構ってんの」



他の女の子がマネージャーをやめるなんて言っても、俺は「うんわかった」としか言わないだろう。

他の子が泣いていても……手を差し伸べたりしない。そのくらい、俺はどちらかといえば薄情な人間だから。