甘やかすのはキミ限定。

よかった……心臓、止まるかと思った……。


しおちゃんの無事を確認し、安堵の息を吐く。

多少痛みはあったけど、俺も怪我を負ってはいない。



「大丈夫?」



腕の中にいるしおちゃんにそう聞けば、しおちゃんは俺を見ながら目を大きく見開いていた。

そして、ショックを受けたように眉の両端を下げて、俺を見つめてくる。



「きゃ、キャプテンこそ……!怪我、してませんか……?」

「俺は平気だよ」

「……っ、あ、足、血が……」



しおちゃんの視線を辿ると、擦れたのか確かに血が滲んでいる。

でも、このくらい、どうってことない。

部活に怪我はつきものだし、舐めてれば治ると言えるくらいの軽傷だ。



「ただの擦り傷だよ」

「……ほ、保健室に……!」