気をつけていたつもりだったけど……
「っ、わっ……!」
足元がふらついて、カゴごと倒れそうになった。
コケると思い、きつく目を瞑る。
けれど、恐れていた衝撃が来ることはなく、代わりに温かいものに包まれた。
あ、あれ……?
「……セーフ」
顔を上げると、そこにいたのは洗濯カゴごと私を抱きとめてくれた人の姿。
「きゃ、キャプテン……!」
バスケ部のキャプテンである……北園辰巳(きたぞの たつみ)先輩。
「大丈夫?しおちゃん」
キャプテンは、心配そうに私を見た。
ちなみに、しおちゃんというのは私のことで、キャプテンはだけに呼ばれるあだ名。
志織(しおり)という名前だから、「しおちゃん」らしい。