甘やかすのはキミ限定。

……っ、逃がすわけないでしょ……。

俺はすぐにしおちゃんの後を追うように、走り出す。


一瞬で遅れた上に、曲がり角を使って逃げたしおちゃんを必死に追いかけた。


朝という時間帯で人が多いこともあり、少し離れたら見失いそう。


くそ……人が邪魔で、走りにくい……っ。


それでも、俺だって伊達にキャプテンをしているわけじゃない。


捕まえられる距離になって、走る速度を上げた。


階段を降りようとしたしおちゃん。……が、足を踏み外したのがわかった。



「きゃっ……!」

「……っ」



やばい……っ。


すぐに手を伸ばして、しおちゃんが怪我をしないように抱きしめる。

俺が下敷きになるような形で、階段から落ちた。



「あ、ぶな……」