そうか…
そうだったんだね


「杏はな、俺たちに心を開いてるようで開いてへんかった。俺はそれが悔しかった。でも杏が、薔薇にいる時は、心の底から笑ってるような気がしてた…

俺らはここを絶対、杏が卒業するまで守ってやろうって決めてたんや」


この3人の話は、グッと心臓を掴まれたような感覚になる。
悔しい気持ちが…とても分かるから



「ここまで助けに来たってことは、あんた達、あの子が何者か知ってるんでしょ?」


何者か
東堂財閥の娘


「あの子が高校生になった時かしら?その時にね、実は知ったのよ。何か隠してることは知ってたわ。志木と妙に距離が近いのも、志木がたまに杏様とか呼んでるのも…

あの子が東堂財閥の娘で、正体を隠してあたし達と一緒に居ることも…あたし達は知ったのよ」


3人はとても優しい顔をしていた
もし俺がこの人たちと同じ立場なら…きっと杏ちゃんを問い詰めていたと思う



「杏ちゃんが言いたくないんやなって分かったからね?みんな知らないフリしてたんや。それでよかった。だってあたし達と一緒にいる杏ちゃんは、他の誰でもなく、薔薇の総長の杏ちゃんだったから」