誕生日にまで降らなくていいのに。


3日ぶりに傘いらずでしょうと、誇らしげに言っていた朝のニュース番組を鵜呑みになんかしなければよかった。


夕方になって突然降り出した雨に、傘を持たずに出かけていた私。

梅雨の雨に濡らされた肌はべたべたと、衣類や空気でさえも余計に張り付かせて気持ちがわるい。


ただでさえ日本の雨は湿度が多いのに、梅雨の雨なんて。



逃げるように駆け込んだ雨よけシェードが付いていたこの場所は、時計が午後4時を示そうとしているのにも関わらず、シャッターが閉まったまま。

何のお店か分からないけれど、雨が止むまでいられたらいい。



雨を凌ぐためだけにやってきた私とは反対に、雨粒を待ちわびていた紫陽花がお店の両脇で瑞々しくきらめいて、…居心地の悪さに目を逸らした。



「…あれ?水無月(みなづき)さん?」