継母がこんなに幸せでいいのでしょうか!?村一番の嫌われ者だったのに、三つ子たちとコワモテ公爵に溺愛されて困惑中です

「……村でみんなが挙げていたような普通の結婚式に、とても憧れていました。こんな豪華なドレスではないんですけど」

  村の結婚式は素朴なものだ。ドレスは母親の手製で、色はその家庭ごとにそれぞれだったが、貧しい村のことなので白が多かったように思う。

 季節の花を髪に飾って、アクセサリーの代わりにした。料理は村中の女が総出で、精一杯のご馳走をこしらえた。

「……手製のドレスか。俺の手作りじゃ、ダメだろうか」

  ジークが真顔でそんなことを言った。

「え? ジーク様、お裁縫ができるのですか?」
「いや、全くの未経験だが、エイミがどうしても手製のドレスがいいと言うのなら、なんとか! 何事もやってやれぬことはないと思う」

 彼らしい男気あふれる言葉だが、ジークとお裁縫とは、なんと似合わないことだろうか。

  エイミはふきだしそうになるのを、必死でこらえた。

「いえいえ。手作りにこだわってるわけじゃないんです」

 どのみち、エイミの母は彼女の為にドレスを用意することはなかっただろう。そんなお金があれば、妹達に回したはずだ。